2022年9月22日
物件契約と同じくらい、というか心理的負担としてはそれ以上にハードだったのが「人に言う」ということだった。
そもそも自分のことを人に話すのが非常に苦手な性格のためとても苦しんだ。
最初に話したのは同居の家族であった。一ヶ月くらい自分の心の中で固めて、その時が来たら話そうと思っていた。
よし、今日話すぞ!と決めていた日がやってきて、夕食や洗い物をしている時に話すチャンスがあったがなかなか言い出せなかった。
もうこうなったら寝る前に話すしかない……と思い、夜寝床についてからようやく切り出した。
意を決して話したところ、どんな反応をされるかがずっと心配だったが好意的な反応で賛成してくれたので一安心した。
同居家族の同意も得たことでそれまではコソコソと下調べをしていたことも堂々とできるようになったし物件探しで悩んでいることや考えていることを話せるようになったのでよかった。
次のハードルは職場に伝えるということだった。
職場に開業を伝えるということはつまり退職の意向を話すということでもある。
物件が決まったら伝えようと思っていたが、これが本当に辛くて言うまでにドキドキして3日くらい前から眠れなくなった。
でも早く伝えてこのドキドキから開放されたいとも思っていたのでその日の朝、始業即伝えた。
チャットで伝えればもちろん気持ち的には楽だったと思うけどこれまでお世話になった恩義もあるので電話で伝えた。伝えたいことは手元にメモを用意しておいた。
退職の意向と開業するということを伝えたらこちらの希望を十分汲んでくれたのでこちらも結果的に良かった。
次の日くらいには社内全体に周知された。オープンしたら行きますね!と言ってくれる人もいてめちゃくちゃナーバスになっていた気持ちが癒やされた。
最後の大きな障壁は親に話すということだった。
同居家族や職場のほうはまあ反対されるということはないだろうと思っていたが自分の親は一番反対してくる可能性が高い存在だった。
なので一番後回しにして物件の契約もすべて決まってから話そうと思っていた。
しかし、物件を借りる時に保証会社への提出書類で緊急連絡先を書く必要があった。ここに実家の連絡先を書いたので保証会社から確認の連絡がいく可能性があり、予め伝えておく必要があった。
この時にはもう仕方がないので正直に「緊急連絡先にしたから保証会社から連絡が行くかも」と伝えておいた。何か聞かれるかと思ったが特に何も言われなかったのでこちらも詳細は伏せておくことにした。
それからしばらくして「何も連絡来なかったけど何か物件借りたの?」と聞かれた。
この時にはもう契約金も払っていたので観念して「古本屋を開くことになった」と伝えた。
案の定このご時世に大丈夫なの?とか儲かるの?とか言われすわ親子喧嘩かと思われた。が、親も私の性格を理解しているためか何往復かのやり取りの後には「応援しているよ」「オープンしたら行きますね」と言ってくれて一安心した。
主要な関係各所に一通り話してからは心理的なストレスがだいぶ軽減された。
一番心配だったのが「古本屋を開く」なんて言って馬鹿にされたり軽蔑されるんじゃないかということだった。しかし(内心どう思っているかはさておき)そんな態度の人は一人もいなかった。自分にとって親しい人であればあるほど「あなたらしいね」「応援してるよ」と言ってくれるので嬉しかった。人から見て「わたしらしい」ということであれば自分のこの選択は自分としてブレてないということだというのがわかったのもよかった。
また、「人に話す」をすることによって自分の抱えている問題を多少わずかでも人に共有することができた。
不動産屋にすら「古本屋を開く」という事業計画について伝えるのは気が引けるものだった(なんとなく一般的にポジティブに認知されてないのではないかという印象がある)。しかし伝えてみたら前向きに話を聞いてくれたし具体的なイメージを提示したことでオーナーさんにも「こういう感じならいいですよ」というふうに理解してもらえた。「オープン楽しみですね」とか「子供と一緒に行きますね」とかも言ってもらえた。
「不安だ……」ということをSNSに書いたりしたら「具体的に不安なことを書き出してやるべきことを優先順位つけて片付けていくといいよ!」とアドバイスをもらったりもした。
予算足りないんじゃないか……と心配してる時も内装の業者さんに「これくらいの金額でいけますかね?」と相談したら希望の範囲内での見積もりを出してくれてこれならなんとかなりそうだな、と思えた。
と、いうわけでやっぱり人に伝えることは苦手だけど人にちゃんと伝えるをちゃんとやるのは大事だなというのを身に沁みて感じたのであった。
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