2022年9月10日
個人的な事情もあるためここでは特に開業に至った動機などは記さない。
ともかくわたしは古本屋を開業しようと決意し、物件探しをはじめた。
通いやすさ優先で自宅から近いエリアで探していた。周辺の環境もいいし、こんな場所に古本屋があったら素敵じゃないか!と妄想を募らせていた。
不動産サイトを日参し、新着物件が出てこないかチェックする日々が続いた。問い合わせフォームから近隣の不動産屋にコンタクトをとり、めぼしい物件がないかどうかも尋ねた。しかしなかなか物件がないようで一ヶ月以上経っても連絡が来ない。
テナントを専門に扱っているようなサイトを見ていると「サイトに載っていない物件もご紹介可能です!」というようなことが書かれているがいざ問い合わせしてみると「そんなものはない」となってしまうことが多々あった。そもそも数自体が少ないのだろうから仕方がない。
気長に待つのが一番なのだろうが、せっかちな性格なため週に一回は物件探しでなにかアクションを起こそうと問い合わせをしたり検索方法を変えて検索したりしていた。
そんな中、以前問い合わせをした時に「申込みが入ってしまって見学できない」と言われた物件の前を通りかかったところ、まだ「空室」の張り紙とのぼりが出ていたのを見かけた。
見学できるのかもしれないとその物件を提案してくれた不動産屋に何週間か遅れでコンタクトを取ったところ見学可能という返事がすぐに来た。
早速週末に見学に行くことにした。
なんせ家から近いのがよかった。徒歩10分くらいで行ける距離である。
さらに言うと大型スーパーの近くにあるため人通りも多い。住宅街の中ではあるが商店街と同じくらい人通りがある。
物件内部は床がスケルトンになっており、壁紙もビリビリ破れていたたため改装工事が必要そうだった。また、照明が普通の蛍光灯であったためちょっとダサいな…と思った。
スーパーのある通りからは路地に入ったところにあるためそちらの通りからも見えるように看板を置けるかどうか尋ねたところ、オーナーが厳しいとのことで店前に何かを置くことは一切禁止だそうだ。
うーん……と思ったもののロケーションは最高なので申込みを進めたいという話をした。オーナーが厳しいという情報が気がかりではあったが平日昼間にも様子を見に行ったりしてすっかりその気になった。
申込みの書類を提出し、その日は返事をソワソワしながら待っていた。
書類を出してからすぐに保証会社からの連絡が来て資金のことなどを確認された。
その後、さほど時間をおかずに不動産屋から電話がきた。ドキドキしながら出ると口調からして不穏な空気が漂っていた。
結論から言うと審査に通らなかったということだった。保証会社を変えたり書類を出し直したりしてもダメだということでこの物件は諦めなければならないということが決まった。
しょうがないか……とその電話では思ったがだんだんとショックがやってきた。自分は保証会社の審査にも通らないような人間なのか、こんなんじゃ店を開くことができないのではないか、と落ち込んだ。
色々と思い描いていたビジョンが無に帰ってしまったことも残念だった。
立ち直れないかと一時は思ったが自分が以前問い合わせをした時に「先に申し込みが入ってしまった」と言われていたけど見学ができたということはその申し込みも審査に落ちたということだから自分だけじゃあないと思って少し元気が出た。
そもそもオーナーさん気難しい人っぽかったし店前に物を置くのダメだとか言いながら謎の枯れかけた植木鉢とかいっぱいおいてて不気味だったからそこに決まらなくて良かったのかもしれない……とだんだん思えるようになった。
よくよく考えたらあの物件のいいところはロケーションくらいなものだった。家賃も想定より高かったし。内装工事費も高くなりそうだったし。
こうして今思い返してみるとあの物件のマイナス面がたくさん見えてくる。文章にして書いていることで当時の鬱憤も昇華されるというものである。
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https://note.com/yutopiya_books/n/n711bc9f066b9
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